Air diary 49『風と空気と。その2』 

2011/05/12

 

空気に触発される。

森美術館で展示されているMAMプロジェクト014田口行弘展が面白い。

デュシャン賞の企画展が少し退屈だったせいか、余計に出口付近で展示されていた彼のアニメーションに足と、眼と、頭が止まる。インスタレーション&アニメーションと評される作品はモノの仮設状況をコマ撮りし、つなぎ合わせてストップアニメーションとして完成される。

場所を移動しながら、人を巻き込み、時には愉快に、時にはスピード感のある動画が出来上がる。今回のプロジェクトは森美術館の白い展示壁面をはがし、その一畳程の大きさの白色のパネルが、美術館を出発し、街に繰り出し、様々なカタチを形成しながら、様々な人と関わって行きます。

カタログには「空気の問題:その流動性と関係性」と題されたテキストが掲載。

KY(空気読めない)に見られるような、日本人の持つ独特の語感「空気」は如何に訳されるべきか?アニメの語源のアニマ=塊、animatus(息を吹き込む)を解説しながら、最近の田口氏の実践的プロジェクトを「場の空気」=周囲との関係性や距離感といった流動的で偶然的にも生まれうる「環境要素」から読み解き、最後は天地万物を包み込む空気によって世界が一つに繋がっているという不二元論的な考察を見いだして終わっている。


気流部から離れているはずが、ここでも気流部的AIRシナプスを刺激されました。(AIRシナプスとは俗に言うアンテナです。)プロジェクトの在り方、最終的な成果の見せ方、美術という制度から離れず、けれど籠らず、というスタンスが大変参考になります。


 

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