Air diary 77『Catch the AIR-SPIRIT 』
2012/01/31
昨年水都2011から始まった、キリュウダマ〜気流魂ツアー2011~12が先日服部緑地にて終了しました。
最後は今迄このプロジェクトに深く関わって頂いた関係者を御招待し、谷間のはらっぱの傾斜地にて気流部が勢い良く転がすキリュウダマを全員で受けとめて頂きました。
そして、様々な都市公園を巡り、楽しく膨らんで転がって来た大阪の空気を見事にキャッチ!!
行政職の方、公園管理事務所の方、おおさかカンヴァス事業の方、気流部サポーターの方、谷間のはらっぱに一列に並ぶ姿を目がけて、感謝と楽しい空気を気流に込めて、ゴロンと。
気流部の可能性が、都市公園の可能性へ、そして都市の可能性へ。ここまでの連鎖を目指していました。が、都市の可能性は、個の可能性に還元され、それが又、文化やアートの可能性へと繋がり、気流部に又フィードバックされる。この可能性の連鎖スパイラルを新たに気付かされたキリュウダマツアーでした。
2011年10月30日から始まり2012年1月29日までの3ヶ月間の中で。
服部緑地から生まれたと言っていい気流部。服部の公園管理事務所との恊働に近い歩みがありました。
指定管理という場の空気を割くような制度の中、他の公園管理者や緑地を繋げるコンセプトを掲げる気流部を見送り、見守り、受け止めてくれたのもホーム服部緑地でした。
又、服部緑地ではおおさかカンヴァス推進事業の多数の選考作品受け入れ先として、様々な作品形態の現代アートが展開されました。個の想いから始まる芸術作品を公共空間に受け入れる事、それは文化の種をまく以前の、文化が根付く土壌を提供することに他なりません。
又、24時間フルオープンな中での安全管理や公園内で活動される団体との調整、事業事務局、アーティストとの折衝等をこなし、緑地にアートが根付くかどうか、そして種から芽を出すかどうかさえ分からない中で、「緑都」というテーマを掲げ、都市公園をより拓かれた、より試みられる空間として発信していきました。
こういった試みはすぐに結果として実がなる訳ではありません。樹々より育て方が難しいかもしれません。でも可能性がある限り、可能性を感じる限り試みられる意味は大きいはずです。
公園として、地域として、都市として、文化として、試みられた場からしか生まれない事があるはずです。それがカタチ有る無いに限らず、人に宿り人を育てて行くのではないかと思います。
大阪には独特の緑地文化があります。緑地側からすると、その再発見、再発掘。アート側から見れば新発見のフィールドです。都市の余白としての存在感を担わされた公園、その余白を主体として、場の空気で都市を描き、新たな未来を描けないか。その1つの逆転の試みでした。
都市全体の中の公園の位置づけ〜ゼネラル、公園と地域や来園者との関わり〜ローカル、この二つの視座を軸に、気流部は大阪の空気をキリュウダマによってより膨らまし、転がして行きました。
中之島、服部、浜寺、箕面、大泉、久宝寺、住吉、鶴見、服部。
単なるイヴェントとして緑地を上滑りしないように、各公園管理事務所と打ち合わせや下見を重ね、事務所と共催でコトを起こしたり、当日の実行にも職員さんに手伝って頂いたりと、公園の空気感をこちらも掴む工夫や手助けがありました。そして、街の歴史が背景として色濃く影響する公園を舞台に、キリュウダマは見事にワークショップの参加者によって空気を入れてもらい、転がしてもらい、公共の空間である公園の「場の空気」が見事に膨らみ転回していきました。
時に天候に泣かされ、時に寒風吹きすさぶ中、それをものともせず、ゴロンと。
ゴロンゴロンと回転する氣の文字と同様に、自分自身の中の気も転回している感じでした。
おおさかカンヴァスによってアートプロジェクト的な活動に足を踏み入れた気流部。
ギャラリーや美術館といった展覧会制度からゴロン、緑地にゴロン、都市にゴロン、地域にゴロン、キリュウダマの転回は思考の展開でもあった気がします。そしてその中で様々な人との出会いがさらにゴロンを加速させ、アートという中にしか居なかったアートをどんどんと転がしたようです。
これは一体何か?どういうプロジェクトなのか?アートなの?イベントなの?
そういった躊躇や出戻りたくなる気持ちも時として生まれましたが、そこもゴロンですね。
次行かないと!です。終わりはないのです。
2012年4月にはプロジェクトの記録として「キリュウダマ〜もう1つの街」としてピクチャーブックを完成させます。現在編集に取りかかるところです。写真をメインにした絵本。ドローイングやテキストを散りばめた、プロジェクト仕上げになる予定です。楽しみにして下さい。
様々な関係各所の皆様、又ワークショップ参加者の皆様、気流部の皆様、本当にお世話になりました。
気流部のホーム、服部緑地には今もキリュウダマが眠っているかもしれませんよ。そして再びホームから何か楽しい空気が広がって行くかもしれません。眼には見えずとも、可能性の連鎖がある限り。
気流部プランナー 森野晋次